放下着(ほうげじゃく)
- 舟橋 学
- 6月3日
- 読了時間: 3分
天は、ただ静かに、あなたを見ています。どんなあなたも、どんな時も、じっと。あなたがどれほど不安でも、迷っていても、何かになろうとあがいていても。
それでも、天は何ひとつ責めず、ただ、見ているのです。だからこそ、あなたも今を大切にしてほしい。過去を悔やむ必要も、未来を恐れる必要もありません。誰かと比べることに、意味はありません。
今、ここにいる自分を、ただ静かに、愛してあげればいいのです。
人はよく、急がなくてもよいことを急ぎ、争わなくてもよいことを争っています。本当は、そんなに急ぐ必要なんてない。争わなくても、失うものなんてない。
幸せに生きている人は、すべてを放っておく力を知っています。許せないと感じるようなこと、イラッとする言葉や態度、心をざわつかせるできごとすら、「まぁいいか」「命を取られるわけじゃないし」と手放せる人は、日々を軽やかに生きています。
禅の言葉に「放下着(ほうげじゃく)」という教えがあります。すべての執着を手放す。過去にとらわれず、未来に縛られず、コントロールできないものを手放して、いちいち反応せず、気にせず、関わらず、ただ「自分の幸せ」のために生きていく。
それが、意外と「簡単」なことだと知る日がきっと来ます。
深刻にならずに、気楽に考えて。つらい時は、遠慮せずに逃げたっていい。無理なものは無理って、あきらめていい。執着しない、不幸に慣れない。考えすぎたら…もう寝てしまおう。人生は、そんなふうに、もっと柔らかく生きていい。
そして、どうか忘れないで。ゆっくりでいいんです。のろのろでも、途中で立ち止まっても、戻ってもいい。それでも一歩、一歩。進もうとするあなたを、誰よりもあなたが認めてあげてください。
自分を愛するって、難しいことじゃありません。自分を許すこと。かわいがること。ごほうびをあげること。どんな自分も、そのままで愛してあげることです。
あなたは、あなたで大丈夫。誰かになる必要なんてありません。なろうとしなくてもいい。あなたが、あなたであることが、あなたのいちばんの美しさです。
何度だってやり直していい。失敗したからこそ、気づけることがあります。あなたは、成功するためだけに生まれてきたのではありません。もっと自由に、もっと軽やかに、あなたの中にある「本当の自分」を取り戻すために、あなたはこの世界に来たのです。
その旅の中で、きっと思い出すでしょう。誰かの言葉を鵜呑みにしなくていい。誰かの判断に、あなたの力を預けないでください。
感じて、考えて、選ぶのは、あなた自身です。
あなたの内側には、ずっと前から眠っていた光があります。誰かや何かのせいにしなくなった時、その光は目を覚ましはじめます。
あなたは必ず、変わっていけます。重たくて苦しかった生き方から、軽くて、自由で、あなたらしい生き方へ。
今日、この文章を読んでくれたあなたがほんの少しでも、自分を大切にしようと思えたのなら、それはもう、「目覚め」のはじまりです。
どうか、あなたがあなたを愛してあげられますように。今日という日が、あなたの幸せにつながっていますように。

Comments